三人に一人は頭痛もち

頭痛は、だれもが経験のあるありふれた症状ですが、日本人の三人に一人は、慢性頭痛に悩む、いわゆる「頭痛もち」といわれています。

こうした頭痛に悩む人の大半は、医療機関を受診せず、薬局で薬を買って対処しているといわれています。図1は、慢性頭痛の一つである片頭痛(後述)の患者さんの頭痛対処法を調べたものですが、「薬局で薬を買う」人が過半数で、医療機関の受診は1割にとどまっています。

片頭痛患者の頭痛対処法を示す円グラフ。薬局で薬を買う55%、なにもしないで我慢する35%、病院に行って治療する10%であることを表す
図1 片頭痛患者の頭痛対処法。病院に行って治療する10%、薬局で薬を買う55%、なにもしないで我慢する35%。n=50(片頭痛患者)(作田 学:SCOPE Vol.34, No.4, 1995)

頭痛の種類

頭痛は、日常的に起こる頭痛、脳の病気が原因の頭痛、慢性頭痛の大きく三つに分けられます(表1)。頭痛もちの頭痛は慢性頭痛で、これはさらに緊張型頭痛、片頭痛、群発頭痛の三つに分けられています。

表1 頭痛の種類

分類内容
1. 日常に起こる頭痛風邪・二日酔い
2. 脳の病気が原因の頭痛くも膜下出血、髄膜炎、慢性硬膜下血腫、脳出血
3. 慢性(反復性)頭痛①緊張型頭痛 ②片頭痛 ③群発頭痛

あなたの頭痛はどのタイプ?

あなたの頭痛は、どのタイプでしょうか。痛みの特徴から□にチェックしてみましょう(図2)。該当する項目の多いものが、自分の頭痛のタイプとなります。緊張型頭痛と片頭痛が合併する「混合型」もあります。

図2 頭痛チェックシート

項目緊張型頭痛片頭痛群発頭痛
どこが痛む?両側片側片側(の目の奥)
どんな痛み?締め付けられる・圧迫される痛みズキンズキンという痛み突き刺す・えぐられる痛み
痛みの強さは?比較的軽い~中程度中程度~かなり強いきわめて強い
動くと痛い?変わらない痛みが増す痛くてじっとしていられない
頭痛以外の症状はある?肩こりやめまいがある吐き気や嘔吐/光や音に敏感になる涙が出る、目の充血/鼻水・鼻づまり
痛みの周期は?毎日、週に数回数日~ひと月に1回程度1~2カ月間に集中して毎日おこる(毎年くり返す)

読売新聞2000年11月26日掲載分(北里大学医学部内科教授 坂井文彦先生/監修)より転載。

頭痛のタイプ別の特徴

緊張型頭痛 長時間のデスクワークなどによる頭部の筋肉の緊張や、精神的ストレスで起こる。頭全体がギューッと締め付けられるように痛む。(後述)

片頭痛 頭の片側、ときに両側に、ズキンズキンという痛みが起こる。吐き気がしたり、光をまぶしく感じたり、音に敏感になる。女性に多い。(後述)

群発頭痛 1年のうちのきまった時期、毎日きまった時間帯(明け方が多い)に、ズキンズキンという目をえぐられるような激しい痛みがおこる。(後述)

危険な頭痛の見分け方

頭痛は、脳の重大な病気のサインのことがあります。以下のようなときには、危険な頭痛ですから、救急車を呼ぶなど早急に医療機関を受診することが勧められます。

(1)突然起こる激しい頭痛

今までに経験したことのないような激しい頭痛が突然起こった場合は、すぐに救急車を呼びましょう。くも膜下出血の疑いがあります。

(2)発熱を伴う強い頭痛

発熱を伴う強い頭痛は風邪でも起こりますが、激しい痛みは脳を覆っている髄膜ずいまくに炎症が起こる髄膜炎のことがあります。

(3)手足のマヒ、めまい、ボケなど随伴症状のある頭痛

手足のマヒ、歩行障害、言語障害、めまいなどを伴う頭痛では、脳腫瘍のうしゅよう、脳血管障害が疑われます。頭痛の程度が軽くても、神経内科、脳神経外科などの専門医を受診しましょう。ボケを伴う頭痛では、慢性硬膜下血腫が疑われます。これは、転倒などによる頭部の打撲で、頭蓋骨の内側に血の固まりができ、それが大きくなって脳を圧迫するものです。打撲直後には検査で異常がなくても、数カ月後の忘れたころに、手足のマヒなどとともに症状が現れることがあります。

(4)だんだん強くなる頭痛

徐々に痛みが増強する頭痛、早朝~朝方の頭痛は、脳腫瘍が疑われます。

緊張型頭痛と上手に付き合う

慢性頭痛のなかで最も多い緊張型頭痛

緊張型頭痛は慢性頭痛のなかでは最も多く、とくに10~50歳代の女性に多くみられます。

「ストレス頭痛」ともいわれ、精神的・身体的ストレスにより起こります。

緊張型頭痛の痛みは、ほとんどが両側性か、頭全体にあらわれます(図3)。頭重感、締めつけ感として感じられることが多く、吐くことはまれです。肩こり、目の疲れ、耳鳴り、めまいなどを伴うこともあります。

緊張型頭痛でみられる症状を頭部に示した図。頭全体や後頭部の圧迫感、頭重感や締めつけ感があり、吐き気があっても吐くことはないことを表す
図3 緊張型頭痛の症状。「反復発作性」と「慢性」に分けられる。・反復発作性……(月15日未満) ・慢性……………(月15日以上)。頭痛が両側性か頭全体に認められ、後頭部を圧迫される感じ。30分~7日間持続し、慢性的に1日中続くことも。頭重感や圧迫感、頭の周囲の締めつけ感。吐き気があっても吐くことはない。

痛みの起こる日数により、反復発作性(月15日未満)、慢性(月15日以上)に分けられています。

生活上の注意

緊張型頭痛の生活上の注意
  • (1)頭痛体操(図4)などで、こりをほぐしましょう。プールでの背泳も効果的です。
  • (2)同一姿勢を続けないことが大切です。コンピューターなどの作業は1時間に10~15分は休憩を入れ、背伸びをしましょう。
  • (3)シャワーだけですませずに、ぬるめのお風呂にゆっくり入りましょう。
  • (4)休日は十分にリラックスしましょう。適量のお酒、マッサージ、頚や肩への蒸しタオルなどもお勧めです。
  • (5)枕が高すぎると頭痛が悪化します。バスタオルを2-3回折ったもので代用したり、高さを調節しましょう。
  • (6)ストレスはためこまないようにしましょう。

薬物療法

筋肉のこりをほぐす筋弛緩きんしかん薬、不安やうつ状態を軽減する抗不安薬・抗うつ薬、痛み止めの消炎鎮痛薬、漢方薬などが用いられます。

頭痛体操の5つの動作(両肩の上げ下げ、首の前後左右の動き、首の回転、前頭部・側頭部・後頭部のマッサージ、うなじを軽くたたく)を示した図
図4 頭痛体操 1 両方の肩を10回上げ下げ 2 首を10回前後、左右に折曲 3 首を10回左右に回転 4 手のひらで前頭部、側頭部、後頭部をマッサージ 5 項部(うなじ)をこぶしでトントンと10回たたく

片頭痛と上手に付き合う

ズキンズキンと脈打つ片頭痛

片頭痛は10~20歳代で始まることが多く、男性より女性に多くみられます。緊張型頭痛より少ないですが、患者数は全国で約840万人と推定されています。

ズキンズキンと脈打つような頭痛が、発作性、反復性に起こり、治療しなければ数時間から数日間続きます。

頭痛の程度は重く、吐き気、嘔吐を伴うことがあり、光や音に過敏になります。

片頭痛は、前兆を伴うタイプ(典型的片頭痛)と、伴わないタイプ(普通型片頭痛)に分けられています。前兆には、ギザギザでシャンデリアのように周囲が輝く閃輝暗点せんきあんてんが見えたり、視野の半分が見えない状態(半盲)などがあり、数秒から数分続きます。

約20パーセントの患者さんでは前兆の前に、抑うつ、イライラ、情緒不安定、食欲不振などの予兆がみられます。

生活上の注意

片頭痛の生活上の注意
  • (1)誘因となる食べもの(チョコレート、チーズ、化学調味料)を控えましょう。
  • (2)精神的ストレス、アルコール、喫煙を避けましょう。
  • (3)空腹、寝すぎ・寝不足を避けましょう。
  • (4)こめかみを冷やすと楽になります。

薬物療法

発作の前兆があれば、血管を収縮させるエルゴタミン製剤や痛み止め(非ステロイド性消炎鎮痛薬)を早めに飲みます。発作を起こさないようにする予防薬の服用も勧められます。

発作が起きてからは痛み止めをおもに使用しますが、スマトリプタンという注射も有効です。

群発頭痛と上手に付き合う

大の男が泣く群発頭痛

群発頭痛は、年に1度ほど、1~2カ月ぐらいの間、連日のように片眼がえぐられるような強烈な痛みが起こるものです。痛みと同じ側の眼の充血、涙、鼻閉、鼻汁を伴い、45分~1時間持続します。痛みが起きる期間(群発期間)以外には頭痛はみられません。青年~中年男性に多く、飲酒が誘因となります。

生活上の注意

群発期間は禁酒しましょう。

薬物療法

発作時には酸素吸入(15分間)や血管を収縮させるスマトリプタンの注射などが有効です。予防的にはステロイド、エルゴタミン製剤が用いられます。

医師に相談しましょう

慢性頭痛患者の多くは、医療機関を受診しないで、薬局で買った薬で対処しているのが現状です。しかし、以下のようなメリットがあり、1度は必ず医療機関を受診し、検査を受けることが勧められます。ぜひ医師に相談してみましょう。

医療機関を受診するメリット
  • (1)頭痛は怖い病気のサインでのこともあります。検査を受けることにより、そうではないことが確認でき、安心できます。
  • (2)自己判断ではなく、正しい診断、適切な治療が行われます。
  • (3)適切な治療により頭痛の起こる回数、程度が改善し、生活の支障が少なくなります。

医師に相談して、より快適な生活を!お大事に。

この記事は冊子「わかりやすい病気のはなし」シリーズ11『頭痛』(2005年1月発行)をもとに作成しています。