骨粗しょう症とはどんな病気ですか?

骨粗しょう症とは、骨の内部がすき間だらけになって、骨が弱くなり折れやすくなった状態のことです。骨粗しょう症では、わずかな衝撃でも骨折してしまい、とくに、背骨、手首、腕の付け根、腿の付け根(大腿骨頸部だいたいこつけいぶ)などに骨折が多く起こります。

そのうち最も注意が必要なのは大腿骨頸部の骨折です。治療には数か月かかり、その間ほとんど動くことができませんので、とくに高齢者は体力が低下して、そのまま寝たきりになったり、余病を起こして早期に亡くなられることも少なくありません。

このような骨折をしないために、骨粗しょう症を早めに見付け、治療することが重要です。

治療が必要なのは、どのような症状が現れたときですか?

骨粗しょう症にはほとんど自覚症状がありません。症状が現れないまま進行するのがこの病気の特徴です。つまり、治療は何らかの症状が現れてから始めるのではなく、骨量が減っているとわかった時点から治療を始め、骨折を防ぐことが大切です。それにはまず、骨量測定検査を受けて、骨の強さを知ることが第一歩です。

正常な背骨と骨粗しょう症の背骨のレントゲン写真の比較
正常な背骨(左)と骨粗しょう症の背骨(右)のレントゲン写真

年とともに背が低くなったり、腰や背中が曲がって腰痛を起こすことがありますが、これは骨粗しょう症による背骨(脊椎せきつい)の圧迫骨折の症状の場合もあります。ぜひ詳しい検査を受けてください。

骨量測定はどこで受けられますか?また、どのくらいの頻度で受ければよいのですか?

骨量測定にはいくつかの方法があり、手の骨量を測定する簡便な方法は、最近はクリニックでも行うところが増えています。精密検査には高度な検査機器が必要なので、その設備のある施設で受ける必要があります。窓口で相談してみてください。

検査を受ける頻度は、女性は40歳を過ぎたら、男性は60歳を過ぎたら一度は受けるようにしてください。自治体で行われている検診などを積極的に利用しましょう。

骨粗しょう症の診断基準(わかりやすいように簡易化しています)
  1. 背骨または大腿骨に、外傷以外による骨折※がある場合
  2. 背骨や大腿骨以外の部分に、外傷以外による骨折※があり、骨密度が若年者の80%未満の場合
  3. 骨折はなくても、骨密度が若年者の70%以下の場合

いずれかに該当する場合が「骨粗しょう症」です

※事故などで強い力がかかって起きた骨折ではなく、骨が弱くなっていることが原因で、わずかな力で起きてしまった骨折のことを指します。

もちろん骨量が減っているといわれたら、こまめに検査を受け、治療の時期を逃さないようにしてください。

検査はX線や超音波を使いますが、痛みは全くなく、安全に行えます。

どんな人が骨粗しょう症になるのですか?

骨粗しょう症の原因として、まず加齢があげられます。高齢者は一般的に食事の量が少なく、カルシウムやビタミンDなど、骨の形成に必要な栄養素が不足しがちです。さらに、それらの栄養素を腸で吸収する力も低下しています。また、運動量が減ることも骨量減少の一因です。もちろんこれらは高齢者に限ったことではなく、カルシウム摂取が少ない人、運動不足の人は、骨量が減少してしまいます。

加齢以外の大きな原因としては、女性の場合の閉経があげられます。女性ホルモン(エストロゲン)には骨量減少を抑える働きがあり、閉経によりその分泌が止まると骨量も急に減り始めます。このほか、副甲状腺ふくこうじょうせん機能きのう亢進症こうしんしょうなどの病気や胃の切除、ステロイド剤(副腎皮質ホルモン)の長期服用、遺伝的素因などが骨量減少の原因となります。

「骨代謝」とか、「最大骨量」という言葉を耳にします。どういう意味ですか?

石のような物質に見える骨も、その内部ではつねに古い骨を壊し新しい骨に作り替える作業が続けられている、生きた組織です。骨の細胞には、新しい骨を形成する「骨芽細胞こつがさいぼう」と、古くなった骨を破壊する「破骨細胞はこつさいぼう」があり、破骨細胞によって壊された骨のあとには、骨芽細胞が集まって新しい骨を作ります。このような骨の新陳代謝を「骨代謝」といいます。

骨代謝のサイクル。活性化(古い骨細胞を新しい骨細胞に置き換える始まり)→骨吸収(破骨細胞が骨細胞を破壊しカルシウムを血液中へ溶かし出す)→休止(破壊された部分が修復される)→骨形成(骨芽細胞が集まり新生骨の形成が始まる)という流れを示した図

骨代謝は、ホルモン(副甲状腺ホルモン、カルシトニン、性ホルモン)や活性型ビタミンDなどによってコントロールされています。カルシウム摂取量が少ないことや、ホルモンの過不足、活性型ビタミンDの不足が生じると、骨の破壊が形成を上回り、骨粗しょう症になります。

最大骨量とは、一生のなかでピークに達した時点の骨量のことです。通常20歳代に最大骨量に到達しますが、それまでの期間をカルシウム摂取不足(過剰なダイエットなどによる)、運動不足のまま過ごすと、最大骨量は少なく、骨粗しょう症になりやすい骨になってしまいます。

年齢による骨量の変化を示すグラフ。女性は20歳代で最大骨量に達したのち、閉経を境に骨量が急激に減少する。男性は緩やかに減少する

骨粗しょう症の予防や治療にはカルシウムやビタミンDを摂るとよいそうですが、それらはどんなものに多く含まれていますか?

カルシウムは乳製品にとくに多く、乳製品のカルシウムはからだに吸収されやすいという特徴があります。牛乳を飲むとおなかをこわす人は、温めて飲んだりヨーグルトを食べるようにしましょう。料理にスキムミルクを使うこともすすめられます。

また、カルシウムの吸収には活性型ビタミンDの力が必要です。活性型ビタミンDは、カルシウム吸収率を高め、同時に骨に直接作用して骨量を増やす働きもあります。活性型ビタミンDを増やすには、ビタミンDを多く摂ることです。ビタミンDは、魚に多く含まれています。

なお、ビタミンDは肝臓と腎臓で活性化されて作用を発揮しますが、加齢などにより腎機能が低下してくると活性型ビタミンDへ変換されにくくなります。このような場合、活性型ビタミンDを薬として服用することも必要です。

カルシウムの多い食品

食品1回に食べる量その目安量カルシウム量
乳製品(カルシウム吸収効率が大変よい)
牛乳200g1本220mg
チーズ25g2切れ158mg
ヨーグルト100g1個156mg
大豆製品(カルシウム吸収効率が比較的によい)
豆腐100g1/3丁120mg
油揚げ10g1/2枚30mg
納豆50g1個45mg
魚類・海藻類(カルシウム吸収効率はふつう)
いわし丸干70g1尾308mg
干(桜)えび2.2g大さじ144mg
煮干し8g5尾176mg
ひじき8g小鉢1杯分112mg
ししゃも25g1尾75mg
しらす9g大さじ219mg
わかめ(乾燥)1gおわん1杯分8mg
野菜類(カルシウム吸収効率はあまりよくない)
小松菜80g小鉢1杯分136mg
炒りごま9g大さじ1108mg
大根の菜50g小皿1杯分49mg

ビタミンDの多い食品

食品1回に食べる量その目安量ビタミンD量
さけ100g1切れ32μg
さば100g1切れ11μg
うなぎ80g1串15μg
まぐろ(トロ)80g5切れ14μg
いわし70g1尾35μg
生しいたけ15g1枚0.3μg

日本人はカルシウムが不足しているそうですが、それはなぜですか?

日本人は牛乳や乳製品を摂る習慣が少ないことが、カルシウム摂取が少ない最大の理由です。実際に日本人のカルシウム摂取量は平均で550mgほどで、欧米人より150mgも少なく、推奨される量(1日650mg以上、骨粗しょう症の予防には800mg)を満たしていません。また日本人の主要なカルシウム源は魚や野菜ですが、近年は肉食が増えた分だけ、その摂取量も減る傾向にあります。

カルシウムを多く摂りすぎる心配はありませんか?

カルシウムの摂りすぎが問題になることは、基本的にはありません。できるだけ多く摂る工夫をしてください。ただし、活性型ビタミンD製剤を服用している人は、無理して多く摂る必要はありません。この薬はカルシウムの吸収を助けるので、摂りすぎると血液のカルシウム濃度が高くなってしまう場合もあります。詳しくは、医師にご相談ください。

市販のサプリメント(栄養補助食品)を利用しても構わないですか?

カルシウムや肝油などのサプリメントを利用するときは、まず最初に医師に相談してみてください。骨粗しょう症の飲み薬を服用している場合には、サプリメントの利用に問題があるケースもあります。すでに、サプリメントを利用している場合は、その量を医師に伝え指示を受けてください。

治療は一生続くのですか?

いったん減った骨量は、急速に元に戻ることはありません。このため途中で治療を中断してしまっては、骨折を防ぐという骨粗しょう症の治療目的は達せられません。とはいえ「一生治療が必要」などと大袈裟に考える必要はなく、むしろ骨折する前に骨粗しょう症を発見できたのを幸いと思って、食事の工夫や適度な運動を楽しみながら、健康的な生活を送ってください。

骨を丈夫にする運動の仕方を教えてください。

骨に負担がかかる運動がよいとされます。具体的には、エアロビクスやテニス、ジャンプなどのある程度関節に衝撃がかかる動作を含む運動です。しかし、骨粗しょう症の人が急に激しい運動を始めると、逆に骨折の原因になりかねません。また、運動習慣がない人にとって、本格的なスポーツを始めるのはなかなか大変なことです。

このようなことから、最も安全に、かつ手軽に継続できる運動は、「歩くこと」です。多少息がはずむくらいの早さで、1日30分ぐらいの歩行を続けるのがよいでしょう。

陽に当たるとよいと聞きましたが…

カルシウムの吸収率を高め、骨の形成を促す活性型ビタミンDの原料は、ビタミンDです。そのビタミンDの多くは、体内のデヒドロコレステロールという物質が紫外線の作用を受けて、皮膚で作られています。ですから、陽に当たるのは確かによいことです。高齢のため一日中家にいることが多い人は、毎日20分ほど部屋の窓際や木陰に移動して、外光に当たってください。なお、毎日外出する機会がある人は、わざわざ日光浴をする必要はありません。過度の日焼けは皮膚がんの危険を高めます。

骨粗しょう症の薬には、どんなものがありますか?

食事療法を補う意味で、カルシウム製剤が処方されます。活性型ビタミンD製剤は、腸でのカルシウム吸収を高めるとともに骨形成も助けます。また、破骨細胞により骨が壊されるのを防ぎ、骨量を増やして骨折を予防するビスホスホネート製剤が多く使われています。ビスホスホネートは最近、従来からあった飲み薬のほかに注射薬(点滴)が登場しました。4週間に1回通院して点滴を受けます。また、ゼリータイプの薬もあり、錠剤が飲み込みづらい人などに処方されます。

女性ホルモン様の働きをする選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)という薬剤も破骨細胞の活動を押さえ、骨密度を増やす働きがあります。ホルモン補充療法は女性ホルモンの分泌が低下している人(主に閉経後の女性)が対象になります。

紫外線を浴びると皮膚でデヒドロコレステロールからビタミンDが作られ、腎臓や肝臓のはたらきで活性化されることを示した図

このほか、痛みを抑えるカルシトニンというホルモン製剤、あるいは骨のタンパク質を増やすビタミンK製剤などがあります。最近では、骨の新陳代謝を活発にし、骨を増やす働きのある副甲状腺ホルモンのPTHという薬も使われるようになってきました。

これらの製剤は、患者さんそれぞれの骨粗しょう症の原因や他の薬との飲み合わせなどを考慮して処方されています。かかりつけ医とよく相談して服用してください。

この記事は冊子「わかりやすい病気のはなし」シリーズ4『骨粗しょう症 Q&A』(2017年2月発行)をもとに作成しています。